謎の少年
「探偵さん!探偵さん!ちょっと教えてほしいことがあるんだけど。探偵さんってば」
photo by Philippe Put
探偵
「いきなり、何なんだい?少年Aよ」
少年A
「ぼくは少年Aじゃないよ!ぼくは、村井縦徒(むらいたてと)っていうんだ。たてとって呼んで」
探偵
「縦徒ってまた変わった名前だね。今、流行りのキラキラネームってやつかい?」
たてと
「キラキラネーム?ぼくの名前はね、『まっすぐに自分の足で歩んで生きてほしい』っていう願いがこめられているんだよ」
探偵
(……それだったら『真徒(まさと)』になるんじゃないのか?なんで『縦徒(たてと)』なんだ?)
「なるほどね。じゃあ村井の『村』と縦徒の『徒』でソントね」
ソント
「えっ?なにそれ?探偵さん、ぼくの話聞いてた?ぼくの名前はね、『まっすぐに……」
探偵
「ところで私に聞きたい話って?何だい?ソント君」
ソント
(人のはなしを聞かないし、かってに変なあだ名付けるし、この人が本当にあの探偵さんなの?)
「ん~探偵さん、『損得探偵』ってなんなの?」
探偵
「おぉ~そういう質問は大歓迎だ!『損得探偵』とはね、損する人と得する人の違いを紹介するブログさ!」
ソント
「ブログ?ブログって日記のことだよね?日記を書いてるの?」
探偵
「日記と言えば日記だし、日記ではないと言えば日記ではないんだよね」
ソント
「どういうこと?」
探偵
「みんな『損する人=お金を失う人』『得する人=お金を得る人』って思い込んでいるから、それは違うんだよ、っていう話を書いているんだ」
ソント
「えっ?ちがうの?」
探偵
「違うんだな、これが。それをしっかり理解しないと、知らず知らずのうちに君も損する人になっちゃうんだよ」
ソント
「え~それはイヤだ。それなら、得する方法を教えてよ。探偵さん!」
探偵
「それは無理だよ」
ソント
「えっ?なんで?得する方法を書いているんでしょ?」
探偵
「そんなことは言っていないよ。何か勘違いしてない?」
ソント
「え~さっき言ってたよ。損する人と得する人のちがいを書いてるって」
探偵
「そうだよ。違いを書いているんだよ。だから、得する方法を書いているワケではないの」
ソント
「探偵さん……よくわかんない……」
探偵
「じゃ簡単に説明するとだね。宝くじって知ってる?」
ソント
「うん。知ってるよ。お父さんがよく買ってる」
探偵
「その宝くじが当たって、お父さんが喜んでたらソント君も嬉しいだろ?」
ソント
「うん、うれしい。この前お父さんが3等を当てて、ぼくに妖怪ウホッチのおもちゃを買ってくれたんだ」
探偵
「だから、次も当たって欲しいと思うだろう?」
ソント
「うん、思う。つぎは妖怪ウホホッチのおもちゃがほしい」
探偵
「でもね、宝くじが絶対に当たる方法なんて存在しないんだ。だから、宝くじを買って得する方法なんて教えようがないんだ」
ソント
「ま~そうだよね。そんなズルしたら、みんな当たっちゃって、売店のおばちゃんも困っちゃうもんね」
探偵
「そうだね。でもね、宝くじで損しない方法は教えることはできるんだよ」
ソント
「えっ?そうなの?じゃ~教えてよ」
探偵
「それはね、宝くじを買わないことだよ!そうすれば損しない」
ソント
「え~なにそれ?そんなの何の役にもたたないよ……」
探偵
「確かに、最初はそう感じるかもしれないね。でもね、これが損得の本質なんだ。宝くじを買ってはいけない、というワケではないんだ。宝くじを買うなら損する確率が高いと理解した上で買いなさい、そうすれば得することもあるよ、って話なんだ」
ソント
「損は選ぶことができるけど、得は選ぶことができないってこと?」
探偵
「その通りさ。『損』は何をしたらダメなのかを知ることで避けることができても、『得』は狙って得ることはできなんだ。『得』は全て運任せなのさ。宝くじを買うか買わないかを選ぶことはできても、当たるか当たらないかを選ぶことはできないだろ?」
ソント
「たしかに、そうだね」
探偵
「つまり、ちょっとした知識を身に付けて賢くなれば変わる未来と、宝クジ当選のように賢くなってもどうしようもない未来があるんだ。『その変えられる未来をより幸せなものに変えよう』と言うのが、『損得探偵』のコンセプトなのさ」
ソント
「なるほどね」
探偵
「だから、このブログではどうやったら『得』するのかではなく、なぜ『損』するのかに焦点を当てているんだ。損を知ることで選べる自由を手にすることができるからね。損しないための知識を身に付ければ、自然と運命が変わるんだよ」
ソント
「なんとなくだけど、探偵さんが言いたいことがわかってきた気がするよ」
探偵
「でも、いきなり『宝くじを買ってはいけない!宝くじを買ったら損するぞ!』って言われてもピンとこないだろ?」
ソント
「うん。ピンとこない。それになんだかこの前に当たった宝くじまでダメ出しされた気がするよ」
探偵
「そうだろ。だから『損得探偵』では例え話を多く入れて、『体験』することに重きを置いているのさ。知識の押し付けではなく感じることに力を入れていんるだ。そのせいで話が少し長めになってしまっているんだけど、そこも楽しんで欲しいんだ」
ソント
「そこが『損得探偵』のオリジナリティーってことだね」
探偵
「そういうこと。だから、記事を読むときは記事の初めに書いている『難易度』を参考にして欲しいんだ」
ソント
「トップ画面のタイトルの下に『★☆☆☆☆』って書いているアレだね」
探偵
「それそれ。難易度が低い記事ほど話が長めになっている傾向があるから、その日の気分に合わせて、難易度を選ぶのもアリだね。ちなみに、この『損得探偵って何?損する人ってどんな人?』だけは、他の難易度『 ★★★☆☆【中級】 』と『 ★★★★☆【上級】 』の内容も用意しているから、それぞれがどんな感じか見て回るといいよ。何となくの感覚がわかると思うよ」
ソント
「なるほど、今の気分にあったレベルがえらべるってワケだね。人に何かをつたえるって大変なんだね」
探偵
「そうだよ。フワッとした概念を文字だけで伝えるのは難しいものなのさ。だけど、ただ伝えるだけだと面白くないだろ?だから、『損得探偵』では『騙し』という名の遊び心もたくさん盛り込んでいるのさ。その方が面白いからね」
ソント
「そこにおもしろさっているの?」
探偵
「いるさ!面白くなくちゃ楽しくないだろ?それに騙された人ほど、今の自分を見つめ直しやすいんだ」
ソント
「たしかにそうだね。だまされたら『自分も注意しなきゃ』って、思うもんね」
探偵
「そうそう。でも、騙しっぱなしだとモヤモヤが残るからね、最後にはちゃんと種明かししてるから安心して」
ソント
「それは当然だよね。だましっぱなしだと、さすがの僕でも怒るよ~」
探偵
「ソント君が怒っても全然迫力なさそうだけどね」
ソント
「なにそれ?僕が怒ったらこわいんだよ」
探偵
「それは新しい発見だね。『損得探偵』でも騙しから生まれる新しい発見を大切にしているんだよ。いわゆる、『驚き』ってやつだね」
ソント
「おどろきが新しい発見につながるってことだね。ってことは『損得探偵』では、『体験』 & 『騙し』 & 『驚き』 の3つをテーマにしてるってことだね。探偵さんっ!」
探偵
「おぉ~その通りだよ、ソント君。いきなり賢くなったね」
ソント
「へへっ!ぼくは前からかしこいのさ。探偵さんが言う、『損する人』と『得する人』のちがいも分かったよ」
探偵
「と言うと?」
ソント
「『損する人=もったいない人』『得する人=ラッキーな人』ってことでしょ?」
探偵
「おぉ~まさしくその通りだよ、ソント君。本当に賢いね。そんなに頭が良いなら、どうだい?僕の元で働いてみないかい?ちょうど優秀な助手を探していたんだよ」
ソント
「えっ!いいの?ぼくも探偵さんみたいになれるの?」
探偵
「君ならなれるさ。それも優秀な探偵にね」
ソント
「やったぁ!なるなる。ぼくも探偵になるよ」
探偵
「良い返事だ!それじゃ、君も今日から探偵の仲間入りだね。名付けて、ソントくったんていだね」
ソント
「探偵さん……なんで一番大事なところでかむのさ?」
探偵
「ごめんごめん。ちょっとした読者サービスさ。気付いていない人がいるかもしれないだろ?なぜ、君の名前が村井縦徒(むらいたてと)って設定なのか?ってことにさ」
ソント
「なぜって、ぼくの名前は……」
探偵
「村井縦徒君の『村』を『そん』と読み替えて、『そんいたてとくん』を並び替えると、『そんとくたんてい』になるのさ。こういったイタズラを色々と仕掛けていくのが探偵の役目なんだよ!探偵の遊び心を楽しめるようになってね」
ソント
「……」
探偵
「そんなにフテくされないの!ソント君と読者の皆様に笑顔が咲き乱れるように、心から祈っているよ」
本編の物語はフィクションです。
写真と登場人物は一切関係がありませんので、ご注意ください。