損は知らないから発生する?
「損しない人」 と 「得する人」の違いとは何でしょう?
もしそれを10歳の子供に尋ねられたら、あなたは何と答えますか?
想像してみて下さい。
「損しない人」 と 「得する人」
そこには明確な違いがあります。
あるエピソードを交えて説明していきます。
是非とも、「損する人」 と 「得する人」の両方を体感してみて下さい。
あなたは急遽、スーツを買いに行かなければならなくなりました。
それというもの、手持ちのスーツが同じタイミングで全て破れてしまったからです。
最寄りのセレクトショップに行くと、お手ごろ価格のスーツがすぐに見つかりました。
しかし、その隣には全く同じスーツが2割引で売られています。
その理由を店員に尋ねると、
「今日は新装開店セールで、先着5名だけに特別価格でスーツを提供しているんです」とのこと。
品質的には定価品もセール品も全く変わらないが、セール期間中はどちらの商品も一切返品できないそうです。
つまり、完全に同じ商品にもかかわらず、値段が異なるという状況です。
2割引のスーツは残り1着しかありません。
このような状況下では、あなたはどう行動しますか?
ほとんどの人は、2割引のスーツの方を買うでしょう。
ここで、「定価のスーツを購入する」と答える人は相当なお金持ちか、ワケあってお店に貢献したい人くらいでしょうか。
では、なぜ多くの人は2割引のスーツを選ぶのでしょうか?
「何を当たり前のことを聞いているのだ」と思うでしょうが、もう少しお付き合い下さい。
実際、この質問に真面目に答えると、「全く同じものを買うなら2割引の方がお得だから」でしょう。
同じスーツが2割引で買えるのだから、「お得」と感じるワケです。
そこで、2割引のスーツを買うことに決めたあなた。
ただでさえお手ごろ価格のスーツが、さらに安く買えたので大満足です。
足取り軽く家路に向かっていたところ、カツカツカツと急ぎ足で駆け寄ってくるヒール音が聞こえてきました。
立ち止まって足音に聞き耳を立てていると、ヒール音はあなたの後ろで立ち止まりました。
辺り一帯に静寂が広がります。
ちょっとした不気味さを感じつつも振り返ると、
「あの~すいません」
と澄んだ声が響き渡りました。
なんと、そこには目を見張るほどの絶世の美女が立っていました。
(こんな美人に話しかけられるなんて、今日はなんてラッキーな日なんだ)
そんな夢見心地に浸り、茫然と突っ立っていると
美女は質問を投げかけてきました。
「突然、すいません。私は今、『 損する人の特徴 』というタイトルで記事を書いていまして……その参考資料として教えて頂きたいのですが、なぜ2割引のスーツを購入されたのですか?」
(どういう意味なんだろう?なぜこんな質問をするんだろう?)
質問の意図を推測しようとするも、
「突然の美女」「不意の質問」「理解不能の内容」
の豪華三点セットで、すでにパニックです。
オロオロとしているあなたを後目に、女性は質問を続けます。
「同じスーツを買うなら、なぜ、向かいにあった半額のスーツを買わなかったのですか?あなたは相当なお金持ちか、ワケあってお店に貢献したい人なのですか?」
「……へ?」
腹から息が抜けるのと同時に、気の抜けた声も漏れました。
思考回路は完全にパニックの裏側です。
急いで先ほどの店に戻り、店内を確認してみたところ、確かに全く同じスーツが半額で売られているではありませんか。
その理由を店員に聞いたところ、返ってきた答えは、
「今日は新装開店セールですから、特別価格で販売しています。しかし、返品はできません」
と、先ほどと同じです。
見事なまでのマニュアル対応です。
愕然と肩を落とすあなたを横目に、先ほどの美女は半額のスーツを持って、レジへと向かって行くのでした。
これは非常に極端な例です。
日常生活においてこのような例はまずないでしょう。
しかし、お買い得と思い購入した商品が数日後、さらに値引きされていた、という経験はきっとあるでしょう。
最初は「得した」と思った商品でも、その後次第では「損した」に変化する。
同じ商品でも「得した」とも「損した」とも感じる。
それは「損得」の定義があいまいだから発生する混乱です。
ここで重要なのは、“その情報は事前に知り得たのか?”
それとも、“知る術はなかったのか?” そのどちらに分類されるかです。
本ブログでは、“事前に知ることができた利益の取りこぼし” を「損した」
“知ることができなかった利益の取りこぼし” を「得できなかった」と表現します。
「なぜ半額のスーツではなく、2割引のスーツを買ったのか?」と問われると、半額のスーツの存在を知らなかったからです。知らなかったから2割引のスーツを買ったのです。
半額のスーツの存在に気付けたら、先述の「このような状況下では、あなたはどう行動しますか?」の質問に対して、「半額のスーツを探す」と答えていたことでしょう。
初めての来店であれば、このようなお店の策略を前もって予測することはまず不可能でしょう。従って、それは事前に知ることができなかった利益の取りこぼしであり、“得できなかった出来事” となります。
しかし、もし次にも同じようなセールに遭遇すれば、きっと注意深く半額のスーツを探すでしょう。それにも関わらず、そこでまた同じワナにはまり、2割引きのスーツを買う羽目になったら、それは事前に知る得た利益を取りこぼしたワケですから、“損した出来事” となります。
まとめると、
① 一度目の来店でたまたま半額のスーツを見つけることができれば、それは「得した出来事」
② 一度目の来店で2割引のスーツを掴まされたのであれば、それは「得できなかった出来事」
③ 二度目のセールで半額のスーツを見つけることができれば、それは「損しなかった出来事」
④ 二度目のセールでも2割引のスーツを掴まされたのであれば、それは「損した出来事」
です。
本ブログ『損得探偵』では、①の「得した出来事」を狙うのではなく、③の「損しなかった出来事」に焦点を当て、日々の生活の中に隠れている「損」について紹介していきます。
「得」とはたまたま舞い込むご褒美的存在であり、偶然が伴います。
一方、「損」とは知識や注意力の不足により生じる利益の取りこぼしです。
「損する人の共通点」を知り、「損する人生」から卒業しましょう!
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[…] 詳しくは『 損得の定義 』をご覧ください。 […]