中小企業診断士とは、国が認める唯一の経営コンサルタント資格です。
ビジネスドクターとも呼ばれています。
今回は、そんな中小企業診断士の特徴をご紹介したいと思います。
図表で紹介!中小企業診断士とは?
中小企業診断士は、
「どうすれば、もっと売上が上がるのか?」
「社員のやる気を高めるためには、どうすれば良いのか?」
といったクライアントの『悩み』を解決するのが仕事です。
資格取得はそこそこ大変ですが、学習過程で得られる『問題解決のテクニック』は、あらゆるビジネスシーンで役立ちます。
そのため、「ビジネススキルを高めたい」「いつかは独立してみたい」と考えているビジネスマンにとても人気の資格です。
近年、認知度が徐々に上昇してきている資格ですので、
「どんな資格なのか?」
「取得してどんなメリットがあるのか?」
といった情報を、知っておいて損はありません。
▼ 目次
中小企業診断士の平均年収は?
j-net21「データでみる中小企業診断士2016年版」をもとに筆者が加筆
中小企業診断士の平均年収は700万円~800万円とよく言われます。しかし、実際は「もっと夢がある!」とも言われています。
なぜならば、これは企業内診断士を含めた平均年収だからです。
企業内診断士は資格手当や昇進昇格に繋がる場合もありますが、大幅な年収アップは難しいようです。
一方、中小企業診断士として独立した人は、平均年収850~1,150万円という結果が出ています。サラリーマンでは1%しかいない年収2,000万円ごえも、独立診断士では5人に1人が達成しています。
平成29年の国税庁の発表によれば、サラリーマンの平均年収は432万円ですから、中小企業診断士は『夢のある資格』と言えるでしょう。
中小企業診断士の難易度は?
中小企業診断士は、資格難易度ランキングで『難関』に位置づけられています。
ストレート合格率は4%で、国家資格の中でもかなり低い方です。
資格偏差値は66と言われ、これは「上位10%に入る難しさ」を意味します。
大学入試で例えると「早稲田大学 商学部」クラスです。
診断士試験の特徴は?
試験は1次試験と2次試験があります。
1次試験はマークシート方式で、7科目から出題されます。
2次試験は4科目の筆記試験と、口述試験の2つからなります。
勉強内容はそこまで難しくはないですが、1次試験は「試験範囲が広く」、2次試験は「模範解答が存在しない」のが特徴です。
資格取得におけるメリット・デメリットは?
メリット・デメリットを3つずつ挙げると、次のようになります。
- 人生の選択肢が増える
- 将来性のある資格
- 広がる人脈
- 合格までが大変
- 地方組は出費がかさむ
- 認知度がまだ低い
順番に説明したいと思います。
メリット① 人生の選択肢が増える
j-net21「データでみる中小企業診断士2016年版」をもとに筆者が加筆
資格取得には相応の『努力』と『知識』が必要となります。
そのため、資格を取得すれば「診断士を取得したなんて、すごいね」「診断士としてアドバイスを聞かせて」と一目置かれる存在となります。実際、60%の人が資格取得後に「評価が上がった」と答えています。
また、経営全般の知識を学べるため、チャンスやリスクを見抜く力が磨けます。
出世競争ではライバルに差を付け、転職ではアピールポイントになり、独立という道も切り開けます。
メリット② 将来性のある資格
『少子高齢化・グローバル化・機械化』この3つはすでに動き出し始め、逆らうことができない時代の流れです。
今後、日本の労働人口は確実に減少するため、簡単な仕事は外国人やロボットに代替されていきます。(野村総合研究所の発表によると、2030年頃にはロボットの活躍により日本の労働者の49%が不要になるそうです)
そんな中、中小企業診断士は『コンピューターによる代替可能性が低い職業100種』に、10士業で唯一ランクインしています。
今後の活躍が期待できる資格と言えます。
メリット③ 広がる人脈
中小企業診断協会『平成29年度 「調査・研究事業」』をもとに筆者が加筆
中小企業診断士は、他の士業とは比べものにならないほど、人脈が増えます。それも優秀な人ばかりです。
2次試験合格後に受ける実務補習では、プロコン(プロのコンサルタント)の指導員や厳しい受験を共に乗り越えた戦友と、白熱した議論やお酒を交わすことになります。そこでは非常に濃密な時間を共有するため、自然と強い仲間意識を築くことができます。
また資格取得後には、勉強会やイベントに頻繁に誘われるため、多様な業界の、大小さまざまな企業に勤めている人と知り合うことができます。4%の難関を潜り抜け、さらに精進を重ねている優秀な方たちばかりなので、多くの刺激が得られます。
ここで得られる人脈は、企業内診断士であっても、独立診断士であっても、貴重な財産となります。
デメリット① 合格までが大変
資格ゲッター!『資格取得までの勉強時間ランキング』
日本経済団体連合会 『2018 年労働時間等実態調査 』をもとに筆者が加筆
診断士試験は「学習範囲が広い」「暗記だけでは対応できない」といった特徴があります。1次試験は7科目も学習しなければならず、2次試験では『応用力・読解力・問題解決力』といった思考力も問われます。
資格取得にはおおよそ1200時間の学習時間が必要と言われており、長期的な学習計画を立てる必要があります。
しかし、簡単に取れる資格ではないからこそ価値があります。合格すればもちろんですが、勉強するだけでも周囲から「中小企業診断士を目指すなんてスゴイね」と評価される理由がここにあります。
デメリット② 地方組は出費がかさむ
診断士試験は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇(1次のみ)でしか行われないため、地方出身者は交通費や宿泊費などでハンデを背負うことになります。また、合格後の実務補習も下記の主要都市での開催となるため、出費がかさみます。
このように、地方出身組は金銭面で何かと不利益を被りますが、資格取得後はライバルが少ないといった地理的恩恵が得られます。
安定した収入が得られる公的業務は競争率が高く、実績のない新人が仕事を取ることは難しいと言われています。しかし、地方では中小企業診断士の絶対数が少ないため、仕事に恵まれるチャンスが増えます。
デメリットとメリットは表裏一体であり、『損して得とる』とは、まさにこのことではないでしょうか。
デメリット③ 認知度がまだ低い
他の士業と比較すると、中小企業診断士の知名度はまだまだ低い状況です。感覚的には6割程度の人に「中小企業診断士って何の資格?」と言われるのが現状です。
しかし近年、中小企業診断士の人気は確実に上がってきています。2016年度の日本経済新聞に掲載された「新たに取得したい資格ランキング」では、見事1位に選ばれています。
中小企業診断士の可能性は、まだまだこれから広がっていく、と言えるでしょう。
「新たに取りたい資格」ランキング
日本経済新聞 『中小企業診断士トップに 』をもとに筆者が加筆
どうでしたでしょうか?
中小企業診断士という資格について、少しは理解を深められたでしょうか?
メリットとデメリット、その両方を知ることで見える景色は変わります。
今後も生の経験を発信していきたいと思いますので、
何卒宜しくお願いいたします。
最後まで読んで頂きありがとうございます。