ハズレなしの抽選と聞くと「1等は何か?」より、「最下位賞は何か?」の方が気になる。
割り勘で得した記憶はあまり覚えていないが、損したときの記憶はよく覚えている。
お金を借りた方は借りたことを忘れがちだが、貸したことは絶対に忘れない。
このような経験に、思い当たる節はありませんか?
これらは人が『損得勘定』に突き動かされて行動している証です。
人の損得の感じ方には、ある特徴があります。
その特徴とは一体どのようなものなのでしょうか?
人はなぜ損得勘定で行動してしまうのか?
今回はこれらの疑問について見ていきたいと思います。
▼ 目次
あなたの損得勘定は何タイプ?
いきなりですが、質問です。
あなたなら、どちらの選択肢を選びますか?
【問1】
選択肢A
無条件で現金100万円が手に入る。
選択肢B
コインを投げ、表なら200万円が手に入るが、裏なら何も手に入らない。
【問2】
あなたは200万円の負債を抱えているとします。
選択肢A
無条件で100万円が手に入り、負債総額が100万円に減額される。
選択肢B
コインを投げ、表なら負債が全額免除されるが、裏なら負債総額は200万円のままである。
どうでしょうか?
あなたならどの選択肢を選びますか?
一般的に、これらの選択肢を与えられた人は、
【問1】では選択肢Aを、【問2】では選択肢Bを選ぶ傾向が強い
と言われています。
あなたはどうだったでしょうか?
あなたが選んだ選択肢はどのタイプだったでしょうか?
なぜ多くの人が、【一般人】を選んでしまうのか?
問1では、どちらの選択肢でも手に入る金額の平均値は+100万円です。
選択肢Aでは確実に100万円が手に入ります。
選択肢Bでは50%の確率で200万円が手に入りますが、残り50%の確率で0円なので、平均値を取ると100万円となります。
これを数学的に「期待値が同じ」と表現します。
それにも関わらず、この二択を迫られると「選択肢A」を選ぶ人が圧倒的に多いのです。
一方、問2も手に入る金額の期待値はどちらも+100万円で同じです。
普通に考えれば、問1で選択肢Aを選んだ人は、問2でも「確実に100万円が手に入る選択肢Aを選ぶだろう」と推測されます。
しかし実際には、問2では「選択肢B」を選ぶ人が多いのです。
これらが意味することは、
多くの人は「利益は確実に確保し、損失は完全に回避したい」という心理に基づき行動している
ということです。
この損得のプロセスを心理学的に研究したのが、心理学者のカーネマンらです。
彼らは「人は何を考え、どのように感じるのか?」を調べ、
人の “価値の感じ方” と “お金” との関係を見出しました。
その関係を価値関数と呼びます。
価値関数が教えてくれる3つの大切なこと!
このグラフが意味することは3つあります。
“モノの価値”と“損得の感情”は直線関係ではない
350万円の車が349万円に値下げされたときより、2万円の服が1万円に値下げされたときの方が「お得」と感じる。
どちらも得した金額は同じ1万円だが「お得感」は大きく違う。
利益は確実に確保し、損失は僅かでも許せない
FXや株式投資で利確はすぐにしてしまうが、損切はなかなかできない。
儲かっているときは「株価が下がるかもしれない」と悲観的に考え、損しているときは「きっと上がるはず」と楽観的に考えてしまう。
得したときより損したときの方が、心理的な影響(ダメージ)が大きい
自動販売機でジュースが10円安く売っていたときよりも、10円高く売っていたときの方がインパクトはデカい。
10円安いからといって絶対に買うワケではないが、10円高かったら絶対に買わない。
つまり、
人は「得することの喜び」よりも、「損することによる悲しみ」の方が大きい
ということです。
「損か?得か?」で考えると、トータルで損をする?
「損か?得か?」で物事を考える人は、中立的に考えているつもりでも、
ほとんどの場合で「損しない為」の選択肢ばかりを選んでいます。
当人にとって「不利益になりそう」とみなした相手には態度を変え、
目の前の「小さな損」ばかりを見つめてしまいます。
その結果、大切な関係を自ら壊してしまったり、膨大な時間やお金を浪費してしまったりするのです。
目先の利益ばかりを追い求め、
トータルで損する選択肢を選んでいては本末転倒です。
損得勘定で損しないために、〇〇を尺度に持つ!
損得勘定が強い人は、『目先の損得』にこだわります。
“明日の得” より “今の得” を優先します。
人に「どう思われるか?」より、自分のふところ具合を優先します。
その結果、本当に大切なモノを見失い、トータルで損をしてしまうのです。
割り勘で損したくないからと言って一円単位の会計を行えば、金銭での損は避けられても、周りの人からは「ケチな人だな」と思われます。
10円安いからといって隣のスーパーまで買い出しに行けば、金銭での損は避けられても大切な時間を無駄にします。
人生において重要なのは、金銭の損得だけではありません。
『信頼の損得』『時間の損得』『人間関係の損得』など、様々な損得が存在します。
理想を言えば、これら全ての損得を考慮し、“トータルの損得” を考えるべきです。
しかし、それができれば苦労はしません。
ですから、一番大切な損得に集中するのです。
それが “幸せの損得” です。
「この選択で自分は本当に幸せになれるか?」という視点で考える!
地図を見るとき、縮尺が大きすぎると詳細が分かりません。
かと言って、縮小し過ぎると周りの位置関係が分からなくなります。
ですから縮小と拡大を何度か繰り返して、目的地となる場所を確認します。
それと同じように、
“目先の損得” と “幸せの損得” を相互に見比べることで、損得の本質を見抜くのです。
安い服を買っても幸せなのは、お会計をする一瞬だけです。
一方、肌ざわりが良い服は、着るたびに幸せを感じます。
割り勘で自分だけ得するように企んでも、損を回避できるのはその一回だけです。
次回からは自分だけハブられ、その事実をFacebookで知るのです。
損得とは、○か?×か?といった二択の問題ではありません。
人の感情やTPOが入り混じった複雑な問題です。
ですから、同じ10円であっても、時と場合、言い方、環境、背景などによって受ける印象が大きく変化するのです。
『近い未来』と『遠い未来』を繰り返し想像することで、本当に自分が幸せになれる未来を探しましょう。
それが損得勘定で損しないための唯一の方法です。
まとめます!つまり、損得とは…?
人は『得』より『損』に敏感です。
「得することの喜び」よりも「損することによる悲しみ」の方がインパクトが大です。
そのため、利益は確実に確保し、損失は完全に回避するように行動します。
しかし、それでは目先の利益ばかりを重視してしまい、視野が徐々に狭くなってしまいます。
『損して得とる一手』が打てなくなります。
ですから、“幸せの尺度” を持ちましょう。
「この選択で自分は本当に幸せになれるか?」という視点で選択肢を選びましょう!
損得とは合理的な評価基準ではなく、感情的な評価基準なのです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
コメント
有難うございました。
ずっと自分の損得感情を醜く思い嫌だった。なのに、損得ばかり考えて、、、
「この選択で幸せと思うか」
「合理的でなく感情的な判断基準」
❗❗❗
其れ基準なら救われるかも、と光明差した感じです。
目先のお金の損得重視の自分を取っ払い、幸せ感じる判断で進むように心掛けます。
コメントを頂き有難うございます。
お役に立てて幸栄です。
私も損得感情について醜く思うことがありました。
そこで「損得感情の何がいけないのか?」を考える様になり、
本ブログの考えに行きついた次第です。
是非とも“幸せの損得”を身に付けて
損して得する人生を歩んで下さいね。