【お金の支払い(割り勘編)】
食事代を割り勘するとき、微妙な端数を「誰が払うのか?」と、何とも言えない気まずい空気が漂うことがよくあります。人は損得に敏感です。自分だけが損することを極端に嫌います。それがたとえ、ほんの僅かな金額であったとしてもです。そのため、「誰が得して、誰が損するのか」の駆け引きが、沈黙の中で繰り広げられるワケです。
あなたは、割り勘で「損する人」と「損しない人」の違いを答えられますか?また、割り勘で損しない人が気を付けている暗黙のルールを知っていますか?もし、この二つの質問に対する答えが二つともイエスでなければ、あなたは損している可能性があります。
損する人と得する人、その違いを見比べ、どこに損が隠れているのかを見ていきましょう。
いきなり、質問です。
もし、あなたが食事代 6,010円 を友達二人で割り勘することになった場合、どのような支払方法を提案しますか?普段、自分が取る行動を思い出しながら考えてみて下さい。
おそらく、次の3パターンの内のどれかを思い浮かべたことでしょう。
1. 3,005円ずつ支払う
2. 相手に3,000円を渡し、残りの3,010円を相手に支払ってもらう
3. 相手から3,000円を受け取り、残りの3,010円を自分が支払う
しかし、この中には正解はありません。それぞれの特徴について見ていきましょう。
1. 3,005円ずつ支払う
この支払方法が浮かんだ人は注意が必要です。なぜならば、これが一番損する選択肢だからです。一円単位のお割り勘は「私はあなたに貸しを作りたくない。かと言って、あなたのためになることもしたくない」と、面と向かって言ったも同然です。そのような意図があなたになかったとしても、相手にはそう伝わります。
また、3,005円ずつ支払うというのは、最も時間がかかる支払方法です。人は会計で手間取ることに強いストレスを感じます。お金の使い方がうまい人ほど、どうすれば会計がスムーズにできるかを常に考えています。会計のときこそが、知性の見せ所だからです。
一円単位の割り勘を求める人は、目先の金銭しか見えていない人です。お金では買えない人との絆や、お互いの時間が視野に入っていません。割り勘にするというのは、「対等な関係を築きましょう」という意味であって、「一円単位まで分け合いましょう」という意味ではないのです。もし、一円単位の割り勘に思い当たる節があるならば、今すぐ改善する必要があります。
2. 相手に3,000円を渡し、残りの3,010円を相手に支払ってもらう
この支払方法を選んだ人も、損する人です。これでは、「自分はケチです」と名乗り出たも同じだからです。たしかに、目先の10円は支払わずに済みますが、それよりも大きなモノを失います。
人は得したか損したか、プラスかマイナスかの二択でしか判断しません。そこに金額の程度は関係ありません。支払った金額が10円多かっただけでも、人の心に残るのは「損させられた」という感情です。そして、その感情は表には出てきませんが、驚くほど強く長く人の記憶に残ります。
また、端数の支払いを免れようとする人には、「小銭を出すのが面倒だから、後はお前がやっといて」という傲慢さが漂っています。その傲慢さとケチが合わさって、タチの悪さが強調されます。
10円の支払いをケチった結果は、ボクサーのボディーブローと同じで、そのときはあまり痛みを感じなくても人生のダメージとして確実に蓄積します。そして、自分だけ旅行に誘われない、自分だけ合コンに呼ばれない、金銭面で困ったときに助けてもらえない、といった機会損失に姿を変えます。
小さなケチの積み重ねが、未来の可能性を閉ざすことに気付くべきです。損しない人ほど、未来への可能性にお金を投じます。目先の10円をケチって、10円以上の価値を手放していては本末転倒です。もし、小さなケチに思い当たる節があるならば、改善することを強くオススメします。大切なモノは目に見えるものだけではありません。
3. 相手から3,000円を受け取り、残りを自分が支払う
この支払方法が3つの選択肢の中では1番マシですが、それでも改善の余地が2点あります。
相手に好印象を与える賢い支払方法は、
1,000円札3枚と、50円玉1枚をテーブルに置いて「後は頼んでいい?」とお願いする
です。
結果としては、改善前の「相手から3,000円を受け取り、残りを自分が支払う」と同じ3010円を支払うことになるのですが、相手に与える印象は両者で大きく異なります。具体的に見ていきましょう。
一つ目の改善点は、「支払を相手にさせる」
端数の支払いを自分が引き受ける際に、やりがちなミスは「3,000円でいいよ」と口を滑らすことです。この「で」の一言で全てが台無しになります。感謝されるどころか、反感を買う羽目になります。これが日本語の難しいところです。
この「で」の言い回しをうまくできたとしても、相手から3,000円を貰う場合には、「私が10円多く払ってあげるよ」という恩着せがましさが、どうしてもにじみ出てしまいます。その恩着せがましさを隠すために、相手に支払を頼むのです。「端数を支払うから会計はお願い」といった交換条件を提示することで、相手の意識を会計に集中させるのです。
割り勘ではお金を多めに出す人は支払いを自分でやってはいけません。
これが割り勘で反感を買わないための大原則です。
二つ目の改善点は、「あえておつりを発生させる」
端数の支払いに10円玉を出せば、おつりは出ません。しかし、50円玉を出せば、40円のおつりが発生します。そこがポイントです。同じ10円の支払いでも、10円玉で行うか、50円玉で行うかで、印象は大きく異なります。
10円玉を出す場合には「ちょうど10円玉があったから10円玉を出した」という印象しか与えません。一方で、50円玉を出す場合には、「10円玉がないにもかかわらず端数の支払いを行った」という積極性をアピールすることができます。
また、会計でおつりが発生すれば、支払を終えた友達があなたにおつりを返すタイミングで、「(端数を出してくれて)ありがとう」の一言が言いやすくなります。その「ありがとう」で割り勘は完了します。そのため、あえておつりを発生させることで、相手にお礼を言いやすい環境を作り出し、双方にわだかまりが残りにくい清算が行えるのです。
もちろん、50円玉を出せば、おつりの40円がネコババされる可能性もあります。しかし、割り勘で端数分を多めに出したにも関わらず、そのお礼も言わず、なおかつ、そのおつりまでネコババするような人とは付き合いを考えた方が今後のためです。40円はその見極めをするための『投資』と考えれば決して高くはないでしょう。
微妙な端数の支払いにこそ、その人の性格が現れます。お金の使い方がうまい人ほど、そのポイントをよく見ています。
割り勘で気を使うべきポイントはたったの3点です。
1. 支払の負荷を、少しだけ自分に多くする
2. 支払は相手にさせる
3. おつりを発生させる
これだけです。
恩着せがましさを感じさせることなく「ちょっと得した」と、相手に感じさせる。それがお金の使い方がうまい人のやり方です。
会計には様々なトラップが仕掛けられています。そのトラップをどう利用するかはあなた次第です。
もし、相手との縁を切りたいと思ったなら、一円単位の割り勘を行いましょう。
もし、相手との仲を深めたいと思ったなら、端数の支払いは率先して引き受け、支払は相手に任せましょう。
それが、割り勘での暗黙のルールです。
コメント
「得」を「赤字」で書くのは変なような…
コメントありがとうございます。
そのように感じる人もいるんじゃないかな、
と思ったのですが、
「損」を「青字」にしたかったので、
その逆は「赤かな……」と思い、
「得」を「赤字」にしてしまいました。
ご指摘を参考にさせて頂きます。
割り勘で自分が多めに出すことがポイントとありますが、そしたら相手は多く出させてるってことになりますけど。つまり自分が少し多く出す。相手は3000円なんだから2番に該当して、自分はケチと強調させてる。要するに自分が出すことによって、相手にケチと強調させてるということになりますが?